農業用水の多面的機能

農村地域において、都市化による混住化の進展等に伴い、土地改良施設も単に農業生産のためばかりでなく、防火・消流雪等の地域用水として、あるいは、洪水調節などの公的役割を担っており、ますます地域社会との関わりが増大しています。そのような中で土地改良施設が持つ多面的機能を充分に理解し、その効果を発揮させていくことが重要であり、また地域社会との関わりに配慮した維持管理が必要とされています。

農業用水は、田畑を潤すだけでなく生活用水・防火用水・環境用水などに使われています。これらの機能を総称して「地域用水機能」といいます。

生活用水機能

野菜や農機具を洗う、洗い場として利用されています。

防火用水機能

水路は防火水槽など消防施設のひとつとして、消火活動に役立ちます。

親水・景観保全機能

子供の遊び場など、潤いと憩いの水辺空間づくりに活かされています。

生態系保全機能

昆虫や魚類等の生息を助ける生態系保全の役割を果たしています。

土砂崩壊防止・表土保全機能

大雨が降っても、田畑には水の浸透・貯水機能があるので、水はゆっくりと川へと流れ、水や土砂の流出を防ぐことができます。

洪水防止・水源涵養など治水機能

田畑があると、大雨が降っても水を溜めることができるので、洪水を防止することができます。

田んぼに水が届くまで

田んぼの水の旅~かんがいに必要な施設

ダム

農業用ダムは雪解け水又は雨水をためておいて、雨があまり降らない農耕期(5月〜10月)の田、畑に水を供給するための施設です。又、農業用ダムは洪水の一時的貯留により大切な田、畑も守る役割も兼ねることもあります。

頭首工

川から水を引き込む施設です。土砂を沈める水槽やゴミを取り除く機械等が稼働しています。

揚水機場

国内最大を誇る北海幹線用水路でも、地区の約半分ほどしか水の供給ができません。そのため、石狩川や夕張川から水を汲み上げ田んぼに水を運んでいるのです。こういった施設が大小合わせて 440箇所ほどあります。

ため池

雨水、渓流水、融雪水を貯めてかんがい用水に利用するものです。

用水路

大きな用水路

河川から揚水機場などにより取水した水を、主に農業用水などに配水する水路です。この地域では大きな用水路を「幹線用水路」といいます。

小さい用水路

小さい用水路「支線用水路」は、幹線用水路に流れてきた水を田んぼなどに引き込みます。

排水路

田畑で役目を終えた水は、排水路を通して再び川へと戻されます。